FUJIFILM SQUARE 企画写真展
「平成・東京・スナップLOVE」
ポートフォリオレビュー展

New Faces of Japanese Photography

※トップ画像: ©️Takuya Yamahata


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2019年、FUJIFILM SQUARE企画写真展「平成・東京・スナップLOVE」が東京会場・フジフイルム スクエア(6月)と大阪会場・富士フイルムフォトサロン(7月)にて開催されました。その期間中、同展出品作家6名(有元伸也、大西みつぐ、尾仲浩二、中藤毅彦、ハービー・山口、元田敬三 敬称略)が、写真展での作品の発表を目指す方たちにアドバイスする「ポートフォリオレビュー」を開催し、計78名の参加者の中から山端拓哉、小西拓良、阪東美音、前川朋子という4名の写真家が選出されました。
フジフイルムスクエアは、この4名の写真家を応援し、2020年8月以降、この4名の写真家の個展を東京のフジフイルム スクエアと大阪の富士フイルムフォトサロンにて連続開催します。

新たな才能を開花させ、将来の飛躍に繋げていただくために、推薦作家から写真展の企画・構成のアドバイスを受けながら、写真展開催のプロセスを体験していただく、という意欲的な試みです。写真に真摯に向き合う4名それぞれの視点が提示する彼らの可能性は、写真の新たな可能性を私たちに見せてくれます。4名の作品と思いを、推薦作家のコメントと共にお楽しみください。


ポートフォリオレビュー/ファイナル・セレクション展 Vol.1
2020年8月28日(金)~2020年9月10日(木)
フジフイルム スクエア 東京
山端拓哉「ロシア語日記」
(推薦作家:尾仲浩二)

©️Takuya Yamahata

今回の作品は、ロシアに語学留学に行っているときの写真が、中心になっている。
旅行写真ではなく、また生活写真でもない、その狭間を作品にしたい。
私は日本でも最近ロシア語で、日記を書いている。
日本での生活でさえ、ロシアと密接に関わっていて、
これからもロシアとの関係は続く。
ロシア語日記は、どんどんページ数を増やす。

©️Takuya Yamahata

 <尾仲浩二選評>
山端くんはロシアが好きだからロシアへ何度も行く。カメラとフィルムを持って。
気になるものは何でも撮ってくる。
フィルムを現像する。
思っていたほどイイ感じには写ってなかったけれど、
思ってもいなかったものがイイ感じに写っていたりする。
暗室でプリントをする。
ホントはこんな色じゃなかったけど、こんな色でも悪くないなと思う。
それが楽しくてまたロシアに撮りに行く。
山端くんが写真を楽しんでいる事がストレートに伝わってきたんです。

山端拓哉 (ヤマハタ・タクヤ)

1988年 青森県十和田市生まれ。
2011年 武蔵大学社会学部社会学科卒業。
2016年10月~2018年2月 ロシア・ウラジオストクにて語学留学。
帰国後、暗室クラブ【おんたま】に参加。
フィルム写真にこだわりながら、作家活動中。

2019年11月 フランス・パリ《FOTOFEVER》に【おんたま】として参加。


ポートフォリオレビュー/ファイナル・セレクション展 Vol.2
2020年9月11日(金)~2020年9月24日(木)
フジフイルム スクエア 東京
小西拓良「笹舟」
(推薦作家:中藤毅彦)

©️Takuro Konishi

写っているのは妻です。
僕たちにコウノトリは来ないまま、
二人の生活は18年になりました。
思い描いていたのとはずいぶん違った人生になってしまいましたが、
僕たちは時の川を笹舟の様に流れていきます。

©️Takuro Konishi

<中藤毅彦選評>
とある夫婦のささやかな生活を精緻に描いた
モノクロームのプリントは限りなく美しい。

夫が妻を見つめる視線は愛に満ち、
また妻がカメラの前で自然に無邪気な姿を見せるのも
夫を心から信頼しているからこそであろう。

だが、見る者は、どこか憂いを秘めた妻の表情の奥に、
不思議な寂しさが漂うのに気がつくだろう。

「笹舟」と言う象徴的なタイトルに込められた、
幸福と哀しみの相半ばする二人の感情こそが、
この作品の核なのである。

小西拓良 (コニシ・タクロウ)

1969年 東京都板橋区生まれ。
2010年 写真表現中村教室ワークショップに参加。
2014年 夜の写真学校ワークショップに参加。
2017年 個展「鉄港」(新宿/Place-M)開催。


ポートフォリオレビュー/ファイナル・セレクション展 Vol.3
2020年10月2日(金)~2020年10月15日(木)
富士フイルムフォトサロン 大阪
阪東美音「メロウ」
(推薦作家・元田敬三)

©Mio Sakato

現役の女子高生から20歳くらいを対象とし、
制服を着せて撮影しました。
この作品は私が学生の時に受けた嫌がらせや
SNSを見ていて感じたことがイメージに影響しています。
SNSに悪口など見たくないことが投稿されていても、
見ておきたくなってしまいます。
だから写真のような場所に行くと
そういう環境から逃げられる気がしました。
周りに合わせるのがしんどくなったから
メイクを薄くしました。
落ち着ける環境を写真の中から
作っていこうとしたのが制作しはじめたきっかけです。

©Mio Sakato

<元田敬三選評>
ポートフォリオレビューを通して
多くの方々と直接出会う機会があり、
みなさまの写真や現実に対する真剣な姿勢に驚かされました。
阪東さんの作品の動機は
自分自身の内面の諸問題でしょうか。
内面は写真に写りませんから
(前提として。たまに写る気がする)、
内なる事を外界へ繋げ、
他者を巻き込んでいく様はまさに写真のなせる技。
写真は目の前にある現実しか写せませんから。
この展示をきっかけに作家本人も見る側も発見の連続が始まるはずです。

阪東美音 (サカトウ・ミオ)

1999年 大阪府生まれ。
2017年 大阪市立工芸高等学校 卒業。
2019年 ビジュアルアーツ専門学校大阪卒業。


ポートフォリオレビュー/ファイナル・セレクション展 Vol.4
2020年10月2日(金)~2020年10月15日(木)
富士フイルムフォトサロン 大阪
前川朋子「涯ての灯火(ともしび)」
(推薦作家・大西みつぐ)

©Tomoko Maekawa

2015年からわたしは、
自分の娘とその周辺の景色を撮影し続けてきた。
些細な日常の出来事も、娘は、
忘れてしまいたいことさえも鮮明に覚えていて、
突然それに苛まれることがあるという。
当のわたしは、忘れたくないことでもすぐに忘れていく一方だ。
同じ時間を過ごしているはずなのに、
私たちの間には互いに相容れないずれ、
眼に見えない「裂け目」のようなものがあるように思う。
写真を知り、より深く眼差す試みの中で、
些細な日常の写真がこの「裂け目」のプラットホームとなり、
他人同士の経験と記憶を育てるのかもしれない、
という気づきをえて、小さな灯火が自分の中に灯されていく、
そういう感覚をおぼえた。
この灯火が、まだ見知らぬ地平を、
ささやかに照らしうることをいつも信じている。

©Tomoko Maekawa

<大西みつぐ選評>
「葛藤」は写真作業の途上でさらに大きくなっていくものだ。
しかし、個に立ち返り「世界」を見つめていく自由をも
同時に獲得していくことになる。
さらに「世界」はこちらをも凝視する。
前川さんの写真は「我が家のアルバム」には
残らない互いの呟きやもどかしさを溢れるほど積み込み、
私たちがこの時代に生きねばならない確信を提示してくれている。
それは「愛しさ」という感情が地味ながらも
着実に未来を照らしているということ。
そこに向かって歩くしかないということ。

前川朋子 (マエカワ・トモコ)

1972年 東京都生まれ。
1998年~ 徳島市在住。
2015年~ フォトアーキペラゴ写真学校に参加。


 

展覧会情報 Details

① 東京展:山端拓哉小西拓良の個展を連続開催!

会 場 :FUJIFILM SQUARE (フジフイルム スクエア)
     〒107-0052東京都港区赤坂9丁目7番3号 東京ミッドタウン・ウエスト
会 期 :2020年08月28日(金) 〜 09月10日(木) (会期中無休)
開館時間:両展とも、10:00 – 19:00
     最終日は16:00まで/入館は終了
入場料 :無料
主 催 :富士フイルム株式会社
企 画 :コンタクト

② 大阪展 阪東美音&前川朋子名の個展を連続開催!

会 場 :富士フイルムフォトサロン 大阪 スペース2
     〒541-0053 大阪市中央区本町2-5-7 メットライフ本町スクエア1階
会 期 :2020年10月02日(金)~ 10月15日(木) (会期中無休)
開館時間:両展とも10:00 – 19:00
     最終日は16:00まで/入館は終了
入場料 :無料
主 催 :富士フイルム株式会社
企 画 :コンタクト


 

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