愛知・一色黒沢 1969年 ©土田ヒロミ
見どころ
戦後日本を代表する写真家 土田ヒロミの名を一躍世に知らしめる一作となった「俗神」。1968年から1975年にかけて、日本各地の土俗文化を取材した本シリーズから精選したゼラチンシルバープリントによる約30点を紹介します。発表から50年近い歳月が流れた今日においても「俗神」の世界は新鮮で、見るものに多くを問いかけてくれます。
山梨・富士山 1973年 ©土田ヒロミ
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写真展について
1971年、第8回太陽賞を受賞した「自閉空間」で写真家として本格的にデビューして以来、多岐にわたるテーマで意欲的な作品を発表し続けている土田ヒロミは、戦後日本を代表する写真家の一人として、国内外で高い評価を得ています。
土田ヒロミの名を一躍世に知らしめる一作となったのが、1968年から1975年にかけて日本各地の土俗文化を取材したシリーズ「俗神」です。このシリーズは、「フリーの写真家になることを決めた際、農家を出自とする自分自身を検証するためにまず土俗文化に対峙する必要性を感じた」という土田の想いが原点となっています。青森から沖縄まで全国津々浦々を巡り、時代を超えて継承される土俗的なハレの場、なかでも大衆や風物の中にある日本人の土俗的感性を赤裸々にとらえ提示しました。
急速な経済成長が土着的なものを容赦なく侵食していく中、土田の視点でとらえられた土地と人々が紡ぎあげてきたさまざまなハレの場の記録は、1972年から隔月で『カメラ毎日』に「絆」として連載され、1974年には、海外で初めて日本の写真家を紹介する大規模な展覧会となったニューヨーク近代美術館での「New Japanese Photography」展にも同シリーズの作品が出品されます。1976年、デビュー作である「自閉空間」からの作品も加え、写真集『俗神』(オットーズ・ブックス社)として刊行され大きな反響を呼びました。
本展では、シリーズ「俗神」から精選したゼラチンシルバープリントによる約30点を展示します。大きな転換点の中にいる今という時代だからこそ、「俗神」の世界は、より新鮮に深く見るものに多くを問いかけてくれます。
「写真がはじめてこの世に登場したとき、写すという行為は、非日常的なハレの儀式の執行であり、写される人びとも、無機的な〈被写体〉ではなく、晴れがましい緊張の一瞬に耐えながら、儀式に参加し、積極的に儀式を支えた。土田ヒロミは、人びとがすっかり忘れてしまった、写真の、この原体験に、今一度復帰しようとする。」
(『俗神』(オットーズ・ブックス社、1976年)より、「〈俗神〉によせて、安永寿延」)
奈良・大峰山 1972年 ©土田ヒロミ
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プロフィール
土田 ヒロミ (つちだ ひろみ)
1939年福井県南条郡堺村(現・南越前町)生まれ。1963年、福井大学工学部卒業後、ポーラ化粧品本舗に入社。1964年、東京勤務を機に東京綜合写真専門学校研究科で学ぶ。1966年、同校卒業。1971年、独立し写真家の道を選ぶ。同年、「自閉空間」で第8回太陽賞受賞。1976年ごろから開始した「ヒロシマ三部作」は『ヒロシマ1945-1979』(朝日ソノラマ、1979年)、『ヒロシマ・モニュメント』(冬青社、1995年)、『ヒロシマ・コレクション』(NHK出版、1995年)として刊行され、現在に至るまで広島の撮影を続けている。1984年、第40回日本写真協会年度賞、1987年、第3回伊奈信男賞を受賞。2008年、「土田ヒロミのニッポン」(東京都写真美術館)により第27回土門拳賞受賞。1992年から96年まで東京綜合写真専門学校校長を務める。2000年から13年まで大阪芸術大学写真学科教授。上記のほか、主な写真集に『俗神』(オットーズ・ブックス、1976年)、『砂を数える』(冬青社、1990年)、『新・砂を数える』(冬青社、2005年)、『BERLIN』(平凡社、2011年)、『フクシマ』(みすず書房、2018年)、『Aging』(ふげん社、2022年)など。東京都写真美術館、東京国立近代美術館、ボストン美術館、テート・モダン、カナダ国立美術館、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、ポンピドゥー・センターなどに作品が収蔵されている。
東京・浅草 1970 ©土田ヒロミ
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写真展概要
企画展名 | フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展 土田ヒロミ写真展「俗神」 |
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開催期間 | 2025年3月27日(木)~6月30日(月) |
開館時間 | 10:00-19:00(最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで) 会期中無休 |
会場 | FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館 |
入館料 | 無料 ※ 企業メセナとして実施しており、より多くの方に楽しんでいただくために入館無料にしております。 |
作品点数 | 全紙・半切サイズなど、モノクロ、約30点(予定)
・フィルムによる作品。・展示作品は、出展者によるオリジナルプリント(銀塩印画紙)を使用。 |
主催 | 富士フイルム株式会社 |
協力 | Office Nirvana 土田ヒロミ |
企画 | コンタクト |
※ 写真展はやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。
※ 祝花はお断りいたします。
青森・弘前 1972年 ©土田ヒロミ
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写真展併催イベント
ギャラリートーク
日時 | 2025年4月5日(土)・5月24日(土) 各日14:00から(30~40分間) 参加無料・予約不要 |
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会場 | フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 |
講師 | 土田ヒロミ |
※ 座席はございませんので、予めご了承ください。
※ イベントはやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。